廃墟

街をうろつくと、たまに廃墟を見かける。

ある一戸建ての家は、かつてはきっとモダンな洒落たお宅だったのだろうと感じるのだが、全体を蔓草で覆われて、静かに佇んでいる。

外から閉ざされたガラス窓が見えるが、土埃などで覆われ、内側からの光を見ることはない。

ある鉄筋コンクリートの3階建ての建物は、市有地にあるようだ。等間隔に並ぶ閉ざされた窓ガラスは、彼方此方破損して、残ったガラスが鋭角をとってある。

かつては学校だったのか、あるいは病院だったのか。

一戸建ても、鉄筋コンクリートも、かつては人が温かい栖を作った場所だったのではないか。

目を閉じ、しばらく佇むと、当時そこで泣いたり笑ったりした人たちの声や息遣いが聞こえてくるような気がする。

しかし、目を開けると、寒とした廃墟があるばかり。

我思う故に我ありという。

人あるが故に一戸建ての建物は単なる冷たい建築物ではなく家になり

人あるが故に鉄筋コンクリートの建物は人の心や魂が輝く病院や学校などになるのではないかな

そう考えると、人という存在は建物にとつての魂なのではないかという気がする。

廃墟の前で、そんなことを思った。

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