この3〜4年の間に、僕はもう14回も参加しているのでした。第55回TOKYO月イチ映画祭。

九段下の定員45人というスペースで毎月行っているTOKYO月イチ映画祭も、55回目となりました。僕は2014年の9月が初参加ですから、かなり出遅れてます。それでも総数の1/4は参加してますから、最近の精勤ぶりがわかるというもの。とくに昨年は中川駿監督の「カランコエの花」という完成度の高い作品に出会えて、大収穫でした。

今回は最長で30分という上映時間の短い作品ばかり。このところほぼ毎日長時間イスに座って映画を見ていたので、短編ばかり6本程度というのは僕にとって好都合。まず冒頭の上映はその30分作品、田中大貴監督の「FILAMENT」(写真2)でした。物語は、空を飛べるという特技を生かして(!)正義のヒーローをめざすも、理解ある恋人をテロで失った男の話です。

自主映画という極端な制約ある状況で、ハリウッドのCG大作のまがいものを作るのはいかがなものかといつも思います。でもこの作品は、アイアンマンもどきのヒーローのコスチュームが、“100均ですべてそろえた(監督談)”とは思えない仕上がりで、何よりヒーローの目が光る、その光量の多さが僕の好みでした。僕は隣に監督が座っているのに話しかけずスルーしてしまいましたが、これがなんとグラン・プリ。いいんじゃないかな。今後頑張ってほしい。

次の飯塚貴士監督作は、小ネタジョーク連発作品なので僕の好みではないからパスして、柴田啓佑監督の「運命のタネ」(写真1)が面白かった。自主映画という“身の丈に合った”できばえなのです。5分という尺もいい。逆に、短いためにグラン・プリという押しが少なかったのかもしれませんが、僕はこの作品をグラン・プリに推しました。調べたら東京MXテレビの「あしたのSHOW」で放送していたみたい。録画してあるHDDを確認しようっと。

柴田啓佑監督に、なぜスコープ画面で撮影するのかと質問すると、横長画面が好きだからという返答でした。僕の考えでは、現在のデジタル上映システムだと16:9の上下が黒になり、引き延ばすと画質が落ちるというマイナス点が大きいのですが、柴田啓佑監督はそれよりも、“横長画面の広さ”を選んだそうです。だから本当は、アナモフィック・レンズで撮りたいけど製作費の問題で…と語ってくれました。僕のようにシネマスコープ登場時代に映画を見始めた人間には、同志を見出した気分です。

Bプログラムに入って観客が増えましたが、Aプロは20人に満たない状況でした。正月明けでみんな疲れたのか、短編ばかりだと敬遠するのか?

服部正和監督の「IDENTITY」は10分で、高校生が主役。監督自身が20代前半ですから、僕から見れば主人公と同世代です。でも監督の年齢から見たら“ずいぶん昔を回顧”しているようでした。その落差から、僕は自分の年齢を再認識したしだい。そういえば「運命のタネ」には、71歳の老人が登場しましたね。もうすぐ僕がその歳になる。あの小川あんという女優さん、僕があと150歳若かったら口説いてるぞ、と。←僕の場合これは「メッセージ・イン・ザ・ボトル」のポール・ニューマンです。

服部正和監督はキューブリックが好きだそうで、今後が楽しみです。劇中「2001年宇宙の旅」の“光の洪水”シーンを意識したような場面がありました。主宰者の野火さんも同じことを感じたらしい。でも、あのシーンは「2001年宇宙の旅」の中で、もっとも出来が悪い部分だと思うから、もっと他のキューブリックを引用してください。

阪元裕吾・辻凪子監督の「ぱん。」は、とてもいいリズムの場面があるのですが、物語の非現実感がそれとマッチしていない。なんかちぐはぐな印象でした。題名に「。」をつけるという、その意図(粋がりと言うべきか)が空回りしているのと同じ。

野本梢監督の「朝をこえて星をこえて」(写真3)は、すでに2度この映画祭で見ている監督さんだけに、完成度は高いと思うのですが、技術的完成度に内容が追いついていない気がします。つまり、映画としての盛り上がりに欠ける。必ず便所を自作に出すというサインを入れるよりも、内容の盛り上がりをまず心がけてください。

というような、しかし今回も粒ぞろいの一日でした。来月が楽しみだけど、行けるかな?